導入事例

CASE STUDY

横須賀市さま

INTERVIEW

住民の利便性向上に対する横須賀市の強い意志で
「AIRPOST」導入。
来庁しなくて済む市役所に向けて一歩前進

横須賀市

経営企画部 デジタル・ガバメント推進室 室長 寒川孝之さま
経営企画部 デジタル・ガバメント推進室 片桐康至さま
税制部 税制課 関屋文男さま

寒川さまと片桐さまは、横須賀市役所のDXを推進し、統括するデジタル・ガバメント推進室に在籍。関屋さまも、長らくシステムに関わる業務に従事されていましたが、現在は税制課に在籍。「AIRPOST」を使った口座振替の実証実験の対応や、その後の導入に向けた準備を担当していただきました。

AIRPOSTを採用した理由

  • 人口減少を見据えた横須賀市役所全体のDX推進への強い意志
  • “新しい取り組み”へのハードルが高い自治体組織でも抵抗の少ない手軽な導入
  • 住民サービスの利便性向上を実感でき、納得感を得られた実証実験を経て、本番導入を決断

実証実験として導入するなかで、「仕事が増えた」
「大変だ」という感覚はほぼなかったです

横須賀市役所 片桐康至さま

(左から)横須賀市役所 関屋文男さま 寒川孝之さま 片桐康至さま

住民異動の手続きをタブレット端末で可能にしたり、LINEを使ったワクチン摂取の申し込みを導入したりするなど、全国でもDXを促進させている自治体として知られる横須賀市。「AIRPOST」も、すでに1回目の実証実験を終え、正式導入に向けて準備が進んでいます。スマート自治体を目指す横須賀市役所といえど、本来、新システム導入などには大きな負荷がかかりますが、「AIRPOST」は独自のハードルの低さに加え、住民にとってのメリットを確信できたことがスムーズな進行につながっているようです。

「AIRPOST」をお知りになったきっかけや、導入に向けた現在の状況を教えてください。

寒川さま「トッパンフォームズさんに『AIRPOST』をご紹介いただいたのがきっかけです。スマートフォンを使ってワンストップで手続きができるというのがDXを推進するうえで理想的な仕組みだったので、興味をもちました。『AIRPOST』にはさまざまな使い方があるとのことで、DXに理解の深い税制課の関屋の協力もあり、導入に向けて2021年9〜10月に、固定資産税の口座振替で『AIRPOST』の実証実験を行いました」

関屋さま「もともと社会的な情勢の影響から、非対面で口座振替ができる方法を探していたんです。そういったなかでちょうど『AIRPOST』のお話を聞いたので、良い機会だと思い、積極的に検討し始めました」

片桐さま「最初にお話を聞いたときは、引越しに伴う電気や水道、金融機関、自治体の手続きを『AIRPOST』を使って行う『引越しワンストップサービス』という、トッパンフォームズさんも取り組んでいるプロジェクトに私は大きな魅力を感じました。住民にとって利便性が非常に高いと思ったので、将来的に『引越しワンストップサービス』を実現できたらとの期待もあり、まずはハードルの低い『AIRPOST』の口座振替から導入してみよう、という想いもありました」

寒川さま「実証実験の結果からは、『AIRPOST』を利用した人の約76%が閉庁した時間帯に手続きを行うなど、“市役所に行かなくても24時間いつでも手続きができる”という住民サービスの向上がはっきりと感じ取れました。予算をかけても住民に納得してもらえる感触がありましたね。現在は上層部も巻き込み、2022年4月の税への本格導入とともに、2~3月には2回目の実証実験を税以外の料金で行うなど前向きに進行しているところです」

横須賀市役所 関屋文男さま

関屋さま「結果のなかでは、利用者に勧奨はがきを送付した直後の申し込み件数が多かったのが印象的でした。口座振替の対象となる金融機関が三つだけだったのは意外でしたが、それだけ非対面のサービスが求められていると感じました。金融機関が増えれば、もっと使ってもらえるだろうなと感じています」

実証実験を経て、利用者や市役所内の反応はいかがでしたか?

寒川さま「スマートフォンで完結するといっても、いくつかの操作が必要なので、利用者から“わかりづらい”といった問い合わせが多いだろうという操作面の不安はあったんですが、そうした声は一切ありませんでした。サービス内容だけでなく、ユーザーインターフェースも優れたサービスだなと思いました」

関屋さま「『AIRPOST』の入り口が『+メッセージ』という住民の中では使っていない人もいるアプリだった点も不安でしたが、まったく問題なく、今となっては “新しいアプリをダウンロードせずに使える”※というのも利用者にとってのメリットだったんだと思います。利用者アンケートでも好意的な声がほとんどでした」

  • ※新規で購入したandroid端末には標準搭載
窓口に設置されたAIRPOSTの説明パンフレット

寒川さま「市役所側の反応の部分でいうと、これは市役所職員の良くない傾向なのですが、基本的に“新しい取り組みにあまり積極的ではない”という面があると思うんです。というのも、例えば住民対応をしている部署などは、昼間は窓口対応、夜間は残務処理をするので普段の業務が忙しく、新しい業務の時間が取れないんですね。ですから、一般的に新システムの導入では、『予算の確保』から『仕様検討』など普段の業務にプラスした負担がものすごく大きいのですが、『AIRPOST』は意外なほどすんなりと、市役所内の反対意見もなく進みました」

関屋さま「デジタル・ガバメント推進室で予算要求、予算説明、契約事務を行ってもらい、実証実験や正式導入の準備フェーズではデジタル・ガバメント推進室主導で行ってもらったため、業務担当課である税制課としては普段の業務にプラスした負担を感じることなくできました」

片桐さま「そうですね。『AIRPOST』は、“市役所のシステムに100%合わせて設計・運用する”というより、“すでに用意されたサービスを利用者自身が選んで使う”ものだと思うので、仕様を詰めたりするフローはほとんどありませんでした。トッパンフォームズさんのサポートもあったおかげで、導入に際して“仕事が増えた” “大変だ”という感覚はほぼなかったです。実際、さきほどお伝えした2回目の実証実験は税制課以外の五つの部署で行うなど、導入のハードルの低さは市役所内でも広がっていると感じています」

寒川さま「あとは、横須賀市長が高齢化社会や職員数の減少を考え、『住民が来なくても済む市役所』を目指しているのも大きいですね。『住民の利便性向上』と『市役所の業務効率化』を実現するためにDX化を進めようという市長の強い意思も、『AIRPOST』導入に向け大きな後押しになりました」

DXで業務を効率化し、住民に寄り添ったサービスに
時間をかけられるようになれば、自治体として理想です

横須賀市役所 寒川孝之さま

横須賀市さま含め自治体にとって、『AIRPOST』 の魅力はどのような部分ですか?

関屋さま「個人的には、非対面で口座振替を行うサービスはほかにもあるなかで、『AIRPOST』は、低いコストで『eKYC※1』というセキュリティを担保する仕組みが使えるのが大きいと思います。自治体の本人確認で『eKYC』を使うのはまだ珍しいですが※2、今後はもっと増えていく気がしますね。さらに、『AIRPOST』は、国が本人確認で推奨している『JPKI※3』も使えるようになるそうなので、法令などの変化があっても幅広く対応できそうです」

  • ※1 electronic Know Your Customerの略。オンラインでの電子的な本人確認をする仕組み。「AIRPOST」ではスマートフォンで本人確認書類と顔(容貌)のデータを取得し、本人確認用データとして手続き先の企業に連携することで厳格な本人確認を実施。
  • ※2 口座振替申し込み手続きでは、本人確認は金融機関が実施。
  • ※3 Japanese Public Key Infrastructureの略。マイナンバーカードを活用し、オンラインで行政手続きを行う際に、他人による「なりすまし」やデータの改ざんを防ぎ、安全に申請などを行うために用いられる手段。

片桐さま「業務効率の面でいえば、まだ受付件数が少ないので実感はありませんが、今後、利用者が増えれば、窓口や電話での対応が減りますし、また、『AIRPOST』が多くのサービスの入り口になれば、そこで得たデジタルデータをそのまま活用できるので自動化が進み、負担も少なくなると思います。あとは『+メッセージ』を使うので、本人にコンタクトできる携帯電話の番号を確実に入手できるのも自治体にとっては大きなメリットですね」

寒川さま「各自治体の住民の皆さまが使う金融機関が『AIRPOST』に対応しているなら、利便性向上、業務効率化のために使わない理由はないと思いますね。スマートフォン1台で、いつでもどこでも手続きを完了できるサービスはなかなかありませんので、『AIRPOST』は自治体のDX化に向けて大きな一歩だと確信しています」

横須賀市役所

近い将来「AIRPOST」に期待すること、また、横須賀市の目指すDXが進んだ理想像について教えてください。

関屋さま「自治体にとって、『AIRPOST』対応の金融機関の数は、利用者数に直結するポイントなので、金融機関が増えることを期待しています。また、税制課としては、今後申し込みが増えると『AIRPOST』の申請を間違えて途中でやめてしまう人も増えると思うので、口座振替の申し込み完了の通知などがあれば、住民にとっても市役所にとっても安心ですね。広くDXという意味では、特に高齢者は市役所に来ること自体が大変な人も多く、逆にいえばDXの恩恵を受けやすい立場でもあるので、高齢者にとって使いやすいデジタルサービスも考えていければと思います」

片桐さま「実証実験の住民アンケートにもあったのですが、小さなお子さまのいる共働き家庭は市役所に来る時間が取れないとの声もあり、子育て関連のサービスもDXを進めていきたいです。あとは、『AIRPOST』とは直接の関係はありませんが、横須賀市とトッパンフォームズさんは、デジタルガバメントの推進に関して連携し、『BPM※4』を行っています。ここでは、トッパンフォームズさんのサポートを受けながら、自治体にありがちな“前例にとらわれた無駄な業務”を可視化するなどの研修を受けており、リテラシー向上やマインドの変化などの面で、少しずつですが職員の変化を感じています。トッパンフォームズさんと行う『BPM』も、IT人材の育成という面で、理想の自治体に近づくための手段なのかなと思いますね」

  • ※4 Businesse Process Managementの略。現状の業務プロセスを正確に把握して変更・改善を行い、プロセスを最適化していく業務管理手法。

寒川さま「横須賀市は、部分的なデジタル化については話題になることもありますが、抜本的な意味でのDX化はまだ少しずつ進んでいる段階だと私自身は感じています。スマートフォンが個人に行き渡った時代ですから、簡単な手続きなら24時間365日スマホ1台で対応でき、トッパンフォームズさんのHPにあるように、“日本の手続きを、ひと続きに。”というDXの姿を目指しています。そうしてデジタル化で業務を効率化し、どうしてもデジタル化になじまない、例えば社会的に恵まれない方へのサポートなど、住民に寄り添ったサービスに時間をかけて丁寧に対応できるようになれれば、自治体として理想だと思いますね」

※本事例は2022年2月時点の情報です。
※写真撮影時にマスクを外していただきました。