導入事例

CASE STUDY

刈谷市さま

INTERVIEW

リスクは低く、
将来性は高い「AIRPOST」
自治体が取り組むDXの第一歩として
“使わない理由がない”

刈谷市

水資源部水道課 岡田崇弘さま
企画財政部情報政策課 深谷友貴さま
企画財政部企画政策課 森惇太朗さま
ヴェオリア・ジェネッツ(株)刈谷市水道料金窓口 米田一城さま

岡田さまは水道事業の経営戦略策定から運営・管理を行い、深谷さまは刈谷市役所全体のネットワーク及び内部事務端末環境の運用・管理やシステムの導入検討を担当。刈谷市から委託を受けた民間企業に所属する米田さまは、口座振替登録や納付書発行など請求に関する業務を行っています。「AIRPOST」の検討から導入は岡田さまと深谷さま、運営は岡田さまと米田さまが担当。森さまは、刈谷市の「スマートシティ」に関連する取り組みに従事しています。

AIRPOSTを採用した理由

  • コストや手間の大きなコンビニ払いに代わる解決策
  • 低コストでスモールスタートが可能な「AIRPOST」のリスクの低さ
  • 銀行や企業での利用が広がれば、多くの手続きをつなげられる新しいプラットフォームとしての将来性

トヨタ自動車発祥の地であり、現在でも多くのトヨタグループの企業が本社を構える日本有数の自動車工業都市、愛知県刈谷市。人口約15万人と、県内では中規模の自治体である刈谷市役所は、2022年の4月に水道料金の口座振替の申し込みに「AIRPOST」を導入。スムーズに進み、利用者も順調に増加しているという要因には、担当者の細かな工夫に加え、トヨタ系企業との意外な関係があるようです。

特に公営企業にとっては、リスクが低く、
将来性が高いサービスを使わない理由はないと感じています

水資源部水道課 岡田崇弘さま

「AIRPOST」をお知りになったきっかけや、導入が決定するまでの流れを教えてください。

岡田さま「現在、刈谷市での水道料金の支払いには、『納付書を使ったコンビニ・銀行での支払い』『口座振替』などの方法があるのですが、徐々にコンビニ支払いが増え、口座振替の割合が減少していました。コンビニ支払いやバーコード決済は、手数料や納付書を印刷・送付するコストや事務作業の手間がかかるんです。最終的に水道料金に跳ね返る可能性があるコスト増は住民のためになりませんので、口座振替を推進したいと思っていたんです。もっと手軽に口座振替の申請ができるサービスがないかと調査していたタイミングで、三菱UFJ銀行の担当者さまに『AIRPOST』の話を聞いたのが最初ですね。第一印象は、ほかのサービスと比べてコストが低いなと。当初、取り扱いが三菱UFJ銀行さまだけだったのは少し気になりましたが、刈谷市の口座振替は40%くらいが三菱UFJ 銀行さまだったので、大きな問題ではありませんでした」

深谷さま「システム導入の検討や、DXを進めている情報政策課としては、正直、初めてのサービスは導入しにくい部分があるんです。ただ、すでに出来上がったサービスで、システム構築が必要なく、また、大手の三菱UFJ銀行さまやトッパンフォームズ(現TOPPANエッジ)さんが関わっており、信頼できるサービスだったので、前向きに進められましたね」

岡田さま「水道料金の口座振替に導入したことも進めやすかった理由の一つです。水道事業には税金が投入されているとよく勘違いされるのですが、実際には住民の水道料金だけで運営する公営企業と呼ばれる業態なんです。税金で費用をまかなわない独立採算制ですから、企業である水道事業には『住民にとって利便性が高く、コストも低いサービスならスピーディーに取り入れる』という考え方があるんです。昨年9〜10月に提案を受けた後は、年末にかけて、三菱UFJ 銀行さまやトッパンフォームズさんが熱心に進行してくれました。その後も、深谷さんの情報政策課なども協力的だったので、Web会議などをしながら調整し、年明けには、すんなりと上長の承認を受けられ、議会の議決を経て、導入が決定しましたね」

  • ※事業に必要な経費は水道料金収入をもって充てることを原則に経営を行っています。

『AIRPOST』導入において決め手となったこと、また運用までに苦労されたことを教えてください。

岡田さま「先ほど話したように『AIRPOST』は、低コストでシステム改修もなく、また、口座振替の申し込みの選択肢はほかにもありますから、もし運用がうまくいかなければ辞めてしまっても住民にご迷惑をおかけすることもないんですね。トッパンフォームズさんの前では言いにくいですが(笑)。さまざまな面で非常にリスクが低いということは決め手の一つでした。もう一つ大きかったのは、『AIRPOST』の将来性ですね。Webサイトに“日本の手続きを、ひと続きに。”とあるように、今後、使える銀行や企業が増えればますます便利になりますし、民間の手続きから行政の手続きまでワンストップで行えるようなサービスの拡張も計画されており、その将来性も大きな魅力だと思いました。自治体、特に公営企業にとっては、リスクが低く、将来性が高いサービス。使わない理由はないと感じています。システムが関わるサービスとしては珍しく、トライアンドエラーができる点でも、DXの第一歩にも向いていると思います」

企画財政部情報政策課 深谷友貴さま

『AIRPOST』導入において決め手となったこと、また運用までに苦労されたことを教えてください。

深谷さま「DXでは“スモールスタート”、つまり小さな規模ではじめて、効果があれば徐々に大きくしていくという流れが多いんですね。こうした“スモールスタート”に対応できることは、『AIRPOST』の大きなメリットだと思います。システムの細かな部分でいうと、多少コストはかかりますが、自治体でも利用実績があり、高いセキュリティを備えたLGWANというネットワークを選べたことも、住民の大切な個人情報を扱うという点で、ありがたかったですね。LGWANの調整には多少時間がかかりましたが、あとはスムーズでした」

  • ※LGWAN:総合行政ネットワーク(Local Government Wide Area Network)。高度なセキュリティを維持した行政専用のネットワーク。地方自治体間の組織内ネットワークを接続し、地方公共団体同士のコミュニケーションの円滑化や情報の共有などが可能。

岡田さま「スムーズに導入が決定した理由の一つとして、刈谷市役所では、近くのトヨタ系企業に出向する職員がいたのも大きいかなと個人的には思います。“無駄を減らし、業務効率を改善させる”というカイゼンを学び、広めてきた風土が市役所内にあったので、『AIRPOST』に抵抗を感じずに進められたのだと思います」

岡田さま「導入が決定してからは、特に大変なことはなかったですね。強いて言えば、契約書づくりくらいです。三菱UFJ銀行さまとトッパンフォームズさん、そして刈谷市役所と三者が契約に関わったため、やりとりが多少煩雑になり、苦労しました。もし悩まれている自治体さまがあれば、契約書のひな形を提供して協力します(笑)」

新時代の手続きのプラットフォームとなれば、
社会全体の利便性向上につながると思います

企画財政部企画政策課 森惇太朗さま

導入後、市役所内や利用者の反応はいかがでしたか?

岡田さま「市役所内の反応という意味では、自治体が行う税金の徴収などではなく、公営企業である水道事業の支払いではじめたばかりなので、まだまだこれから周知をしていかないと、と感じています。ただ、関係する課には『AIRPOST』に関する打ち合わせの議事録を回していますし、今後は、口座振替を行う担当課のメンバーを呼んで、『AIRPOSTっていうサービスがあるんですが、来年度予算取りませんか?』というような講習会は開こうかなと思っています」

ヴェオリア・ジェネッツ(株)刈谷市水道料金窓口 米田一城さま

米田さま「利用者の人数は、4〜8月での申請で三菱UFJ銀行さまの口座振替848件中、140件くらいが『AIRPOST』でした。当初の期待通り、順調に増えているなという印象です」

岡田さま「利用者のデータを見ると、年代は、20代が57%、30代が30%と9割近くが若い世代で、申し込みの時間も18時以降が半分以上なんですね。どこにいても、自由な時間に申請ができるメリットは生かされているなと思います」

米田さま「ここまで順調に増えた要因の一つとして、刈谷市に転居してきた方の住宅へ、水道開栓時に投函(とうかん)する『料金のご案内』に『AIRPOST』のチラシを入れたり、封筒にQRコードを印刷したりして必ず目に触れるようにしたことがよかったのかなと思っています。というのも、刈谷市は、豊田自動織機、アイシン、デンソーなどトヨタに関係する企業や工場などが多く、また国立大学もあるため、若い社員の方や学生などの転入がすごく多いんです。そういった方は、入居と同時に抵抗感なく利用していただけているという実感がありますね」

開栓時のご案内に同封された「AIRPOST」のパンフレット。封筒にもQRコードを印刷
納付書にも「AIRPOST」のQRコードを印刷し、タッチポイントを増やした

岡田さま「米田さんがいうように、申請を促進するにはホームページなどで不特定多数を対象とするよりも、ダイレクトに届けることが有効だと思っています。ですから、開栓時にポストに投函する封筒に『AIRPOST』の案内を印刷し、必ず目に触れるようにしています。紙面は、デザインが得意な職員に依頼し、いかにも行政がつくったという硬い雰囲気ではなく、イラストを入れるなどして目を引くように工夫しています。現在では、納付書にも『AIRPOST』の案内を印刷していますし、今後は検針票でも周知を広げていきたいですね」

米田さま「スマホ操作に慣れていれば簡単に登録できるため、操作方法についての問い合わせは少なく、お客さまの声を直接聞く機会はあまりありません。ただ、紙面での口座振替申請では書式や印鑑の不備で3回も返送されていた方が、手書きも押印もない『AIRPOST』なら1回で申請できたそうです。そういった方はもっと早くあれば、と感じているのではないでしょうか」

岡田さま「紙面での口座振替申請は、自治体が受け取ってチェックしたら、銀行に郵送してさらにチェックと、申請してから手続き完了までタイムラグがあるので、最初の支払いは、ほとんどが納付書を使うことになります。一方で、『AIRPOST』なら2〜3日、最短で翌日には手続きが完了するので、最初から口座振替で支払いができるんです。住民はもちろん、銀行や水道事業者にとっても、こうしたタイムラグの短さはメリットの一つだと思いますね」

先端技術を持った企業の集まる刈谷市では、AIや自動運転などを使って都市機能やサービスを高度化・効率化する「スマートシティ」を推進しています。「AIRPOST」との親和性も高そうですが、未来にどのような構想を描いているのでしょうか。刈谷市の「スマートシティ」の担当者である森さまにも加わってもらい、将来への期待をうかがいました。

「スマートシティ」を推進している刈谷市として、今後「AIRPOST」で実現したいこと、期待することを教えてください。

岡田さま「まず『AIRPOST』で実現したい部分でいうと、現状では登録が完了した利用者に『あなたの口座振替は○月請求分からです』というような案内ができておらず、問い合わせを受けることがあります。ですから、開始を知らせるメッセージの送付は実現したいと思っていますね。すでに解決できるサービスをトッパンフォームズさんはお持ちなので、今後検討していきたいです」

米田さま「現在は利用者数がそこまで多くはないので、申請を手入力するスタイルですが、申請が増えてきたら、RPAなどを使って自動化していきたいですね」

  • ※RPA:ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)。これまで主に人間が行なっていた高度な作業を、AIや機械学習などの技術を活用して代行する取り組み。
(左から)刈谷市 森惇太朗さま 岡田崇弘さま 深谷友貴さま ヴェオリア・ジェネッツ(株) 米田一城さま

岡田さま「次のシステム改修では、RPAを介さずにCSVを取り込む方法も検討しています。口座振替の普及率が1%上がると事務時間が80時間短縮できて経費は50万円削減できるという試算もあるので、業務の効率化に加え、コストの削減にもつながると期待しています」

深谷さま「『AIRPOST』は、住民にとっては利便性向上、自治体にとっては業務の効率化にコスト削減と、メリットがたくさんありますね」

刈谷市役所

岡田さま「水道事業は税金の投入されない公営企業だからこそ、その取り組みが住民の水道料金そのものに関わります。『AIRPOST』は業務を効率化してコストを軽減する取り組みですから、低廉な水道料金の維持につながるんですね。また、自治体はもちろん、企業にも銀行にもメリットがあるので、繰り返しになりますが、導入しない理由は1つもないと思っています」

森さま「刈谷市のスマートシティの取り組みはまだ始まったばかりで、現在は、目指す未来像や構想の細部を固めているところなんです。まずは、地域課題を解決し、暮らしの質を高める新技術の実証実験を進めていこうと考えています。手続きのデジタル化である『AIRPOST』が、今後さらに発展し、新時代の手続きのプラットフォームになれば、スマートシティの基盤として社会全体の利便性向上につながると思います」

※ 本事例は2022年8月時点の情報です
※ 写真撮影時にマスクを外していただきました
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました

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