導入事例

CASE STUDY

株式会社十六銀行さま

INTERVIEW

サービスが広がる可能性に満ちた「AIRPOST」なら
銀行の未来につながると確信

株式会社十六銀行

デジタル改革部副部長 兼
業務改革グループ課長 大野博史さま
デジタル改革部 業務改革グループ 後藤倫子さま

大野さまと後藤さまは業務のDXを推進するデジタル改革部に所属し、「AIRPOST」の導入や運用体制の構築を主導。また、十六銀行の営業支店を回りながら、業務効率化につながる施策の検討を行っています。

AIRPOSTを採用した理由

  • 銀行業務において、非対面の受付チャンネルをお客さまに提供したいため
  • スモールスタートを選ぶことで、導入や運用における業務負荷を軽減
  • 普及すれば社会インフラになることも考えられる「AIRPOST」のポテンシャル

岐阜県岐阜市に本店を置く十六銀行。140年以上の歴史があり、岐阜県、愛知県、三重県という東海三県のなかで最大規模の地方銀行です。“地域密着型金融”を掲げ、地元中小企業の情報を集め、ニーズに合わせた多様な融資を準備するなど、地域経済に貢献するさまざまな取り組みを行っています。地域のお客さまの利便性を第一に考える十六銀行は、2021年の4月に「AIRPOST」の「口座振替の申し込み」を導入。そして1年後には「住所などの更新手続き」と、全国で初めて「最新取引情報の申告」を相次いで導入しました。そこには、変化を恐れず、銀行の未来に向けてサービスのアップデートに取り組む担当者の姿がありました。

反対意見にも向き合い、「銀行業務が変遷していくなかで、
やらなければいけないことだ」と熱心に取り組む

デジタル改革部副部長 兼
業務改革グループ課長 大野博史さま

「AIRPOST」をお知りになったきっかけや、導入が決定するまでの流れを教えてください。

大野さま「2019年の6月ごろ、弊行全体として“非対面の受付チャンネルの拡充”を検討しているなか、トッパンフォームズ(現TOPPANエッジ)さんからご紹介いただいたのが最初です。これは面白いサービスだと感じ、『すぐに取り組んでいきたい』と役員などに伝えると、『ぜひ進めよう』と回答をもらい、2019年の10月ごろには決定しました。『AIRPOST』の導入はとてもスムーズでしたね」

後藤さま「私も、初めて『AIRPOST』のことを聞いたときは、すごいサービスだなと驚きました。銀行とお客さまと自治体がつながるだけでなく、さらに他の金融機関や民間企業までをつなげてくれる可能性があるので、お客さまの利便性はすごく上がります。銀行としても、さまざまな手続きが手軽にできるようになれば、さらにお客さまに寄り添った仕事に注力できるようになりますからね」

大野さま「ただ、決定した後が大変だったんです。当時は東海地方では導入している自治体がなく、金融機関や企業も多くはありませんでした。そんな状態ですから利用していただけるお客さまが未知数であり、コストの部分で不釣り合いなのではないかと再検討を求める意見も行内にはありましたね。しかし、日本のDX化を進める意味でも、広まってから利用するのではなく、早期に導入して一緒に裾野を広げていくということも、金融機関の役割ではないかと思い、説得をしました」

後藤さま「『どこの部署で誰が何をするか』という運用体制の構築にも時間がかかりました。特に、日々の作業を行う予定だった部署では、本当に運用していけるのかという不安が大きかったようです。ですから『AIRPOST』の導入は決定しているものの、なかなか進まない時期もありました」

業務改革グループ 後藤倫子さま

「AIRPOST』を運用するまでに、苦労されたことを教えてください。

後藤さま「担当部署やトッパンフォームズさんと話し合いを重ねるなかで、懸念点に関しては、“スモールスタート”にすることで解決できました。当初は、最初から『口座振替の申し込み』と『住所などの更新手続き』の両方を導入する予定だったので、できる限り人の手を使わないように自動化するシステムの構築も考えていたんです。しかし、利用者が未知数のものにシステム費用をかけるのはリスクがあるため、最初は『口座振替の申し込み』のみの導入に変更しました。『口座振替の申し込み』のみであれば、1日に100件も申請が来ることは考えられないですし、万が一、申し込み数が多い場合は、検討していた自動化システムを組むことになったんです。こうした相談を経て、運用を行う部署にも納得してもらえました」

大野さま「私はもちろんですが、関係者たちの上長も、『銀行業務が変遷していくなかで、これはやらなければいけないことだ』と認識し、熱心に取り組んでくれたのも大きいと思いますね。トッパンフォームズさんにも、行内の各担当部署からの問い合わせ内容に合わせて資料をいただいたり、そこで出た疑問にもすぐに対応してもらったりするなど、とてもご協力いただきました」

後藤さま「トッパンフォームズさんの手厚いサポートは本当にありがたかったですね。私はもともとITに強いわけではないので、基本的な部分から全体の流れまで、遅い時間でも対応していただきました。当時は、ほとんど十六銀行の行員なんじゃないかって思っていたくらいです(笑)」

大野さま「最終的に運用は、口座開設アプリの申請確認など、非対面サービスの業務を行う部署が担当することが決まり、行員へ周知するシステムで『AIRPOSTというサービスが始まります』と情報を流して、2021年の4月に『口座振替の申し込み』を開始。1年後の2022年4月に『住所などの更新手続き』と『最新取引情報の申告』もスタートできました」

導入して終わりではなく、どんどん進化していく
サービスですから、今後も目が離せません

業務改革グループ 後藤倫子さま

導入後、行内や利用者の反応はいかがでしたか?

後藤さま「最初の1年は『口座振替の申し込み』のみだったので申込数は月に10件未満でしたが、『住所などの更新手続き』を追加してからは、毎月50件程度、多い時は70件近くの申し込みがあり、現在も増加しています。口座振替のほうは、今後、導入する自治体や企業が増えたらさらに広まると思いますが、住所の更新はすでに期待以上のご利用をいただいています。24時間スマホ1台あればどこでも手続きができるのは非常に利便性が高いので、スマホを使い慣れた世代に広まれば、もっと使っていただけるかなという実感はありますね」

大野さま「お客さまとしても、『AIRPOST』なら来行する時間が省かれるのはもちろんですが、申込書を郵送する場合も、不備があれば銀行から返送して修正していただき、再度郵送してと、手続き完了までに時間がかかるので、いろいろな部分で時短につながるかなと思います」

後藤さま「時短という意味では、窓口にいらっしゃったお客さまに申請のご案内をする場合、『こちらにお名前を』『こちらにご住所を』と細かい部分まで漏れなくお伝えしながら記入していただくので、ご案内にお1人さまにつき約30分程度は必要なんです。もちろん、窓口は本当に必要なお客さまのために絶対になくてはならないものですが、『AIRPOST』を活用することで、こうした行員がご案内する時間も短縮することができるんですね。実際、70件というのは、まだ申請全体の数%ではあるのですが、窓口対応30分×70件と考えると、もう既に効率化にはつながっていると思います」

大野さま「実際に『AIRPOST』を活用していくなかで、現在多くの銀行が目指している“お客さまの利便性向上”と“銀行業務の効率化”を同時に進められるサービスだなと実感しています」

後藤さま「『AIRPOST』は、導入すれば完成というわけではなく、使用する企業や自治体が増えるほど利便性が増していきます。さらに、マイナンバーカードを読み取る本人確認にも対応するなど、どんどん進化していくサービスですから、今後も目が離せませんね」

お客さまにお渡しするAIRPOSTご利用ガイド

大野さま「運用という部分でも、スモールスタートをしたおかげで、申込件数が多くない期間にある程度作業に慣れていたため、『住所などの更新手続き』を追加してもそこまで困った部分はないようです。『AIRPOST』から情報を受け取るという作業に多少手間がかかるという声はあるので、その部分は改善を検討しています」

後藤さま「難しいのは行内とお客さまへの周知です。先ほど申し上げたスタッフに周知するシステムで『AIRPOST』のことを発信しても、すぐに情報が浸透するわけではないんですね。紙の説明書があれば広がりやすいかなとは思うのですが、『AIRPOST』の導入もペーパーレスという側面があり、その説明書を山積みにしておくのも本末転倒ですから。ただ、サービスを追加したときに、トッパンフォームズさんからいただいたリーフレットをホームページ上に用意しておりますので、お客さまに対応する行員などには必要があれば、これを使ってご案内してくださいと伝えています。初めて知った行員は感動の声と共に『業務の負荷が大幅に減るので、絶対にご案内します』と言ってくれますね。お客さまへの周知については、『AIRPOST』は窓口が閉まってから利用されるお客さまが多いと思うので、キャッシュコーナーに、パンフレットやポスター、サイネージなど目に付くものがあればいいかなと思っています」

大野さま「『最新取引情報の申告』という必然的に利用しなければならないサービスが開始されてからは、さらにお客さまへの認知度が上がってきたと思いますね」

金融庁から要請される「継続的な顧客管理」に「AIRPOST」の新サービスを活用

「最新取引情報の申告」は、金融庁が主に金融機関へ要請したマネーロンダリング(資金洗浄)対策の施策に「AIRPOST」を活用するサービス。金融機関は、2024年3月までにお客さまの身元や事業内容を確認する「継続的な顧客管理(CDD:Customer Due Diligence)」が必要になり、具体的には、お客さまからアンケートの返答を回収するタスクを求められています。

十六銀行では、「継続的な顧客管理」をさまざまなチャンネルを活用して効果的に実施していきたいとの考えから、全国の銀行において初めて「AIRPOST」での「最新取引情報の申告」を導入。一般的なWebでのアンケートでは、銀行からお客さまごとにIDやパスワードを発行する必要がありますが、「AIRPOST」ではその手間が不要で、お客さまへの案内が簡単である点や、導入のスピード感やコスト面でのメリットを感じ、導入を決めたそうです。また、eKYC※1によりオンラインで本人確認情報が取得できる点や、公的個人認証サービス(JPKI※2)での本人確認への対応をはじめとした機能拡張も銀行側に負担がないスムーズに行われる点なども評価していただいています。

現在は、来店されたお客さまやインターネットバンキングをご利用のお客さまを中心に、チラシやEメールなどで「AIRPOST」のご案内をしていますが、今後はATMをご利用のお客さまへの画面等での案内も予定しており、「AIRPOST」のさらなる活用が見込まれます。

※1:electronic Know Your Customerの略。オンラインでの電子的な本人確認をする仕組み。「AIRPOST」ではスマートフォンで本人確認書類と顔(容貌)のデータを取得し、本人確認用データとして手続き先の企業に連携することで厳格な本人確認を実施。なお、「eKYC」はサービスの名称であり、犯罪による収益の移転防止に関する法律に定める取引時確認を意味するものではありません。

※2:Japanese Public Key Infrastructureの略。マイナンバーカードを使った本人確認の仕組みで、捏造(ねつぞう)することが難しい電子証明書を含むカードとPINコードにより、オンラインでの手続きにおいて高精度に利用者の特定を行うことが可能。

今後「AIRPOST」で実現したいこと、期待することを教えてください。

後藤さま「未来のために、“相続”に『AIRPOST』を使ったサービスはぜひ実現してほしいなと思っています。多くのお客さまは相続が発生すると、来店して、必要事項の聞き取りや提出書類の内容を確認後、全ての書類をコピーさせていただきます。その後、次の銀行に行かれることもあるとよく耳にします。窓口の開いている15時までに何件も銀行を回るのは、とても時間がかかりますし、お客様にとって貴重なお休みですが1日で回り切れないこともあるとお聞きします。ですから自治体と金融機関とがつながり、さらに理想としてはそこに金融機関同士もつながって情報を共有できれば、大変便利になると確信しています。銀行業務としても、相続関連の窓口対応にはお1人さまにつき1時間以上かかることも珍しくないので、『AIRPOST』を活用できることを期待しています」

十六銀行

大野さま「あとは、キャッシュカードや通帳などを紛失した際の“喪失届”なども『AIRPOST』で申請できるようになってほしいですね。喪失届は本人確認の部分が重視されるのですが、『AIRPOST』ならオンラインで本人確認できるという強みがあるので、十分展開できると思っています。少し未来の話になりますが、個人的には、即時の処理がそこまで求められず、入出金や振り込みといった勘定系が関わらない手続きならば、すべて『AIRPOST』ならできるのではないかと期待していますね。そのためには、まだまだ導入する企業や自治体、金融機関が増えていく必要がありますが、そうなれば今後社会インフラの一つになる可能性もあるのではないでしょうか」

後藤さま「導入している銀行や自治体がまだ多くないので断念するという意見を耳にすることがありますが、その考え方だとなかなか広まらないですよね。現時点で、お客さまにとっても、行内にもメリットはたくさんありますので、今より便利な未来をつくるためにも導入していくことは大切かなと考えています。スモールスタートもできますからね。とはいえ、もちろん私どももそうした考え方がなかったわけではないので、十分理解はできますが(笑)。数日前に有名タレントが岐阜に来た際にはインターネットのみの受付でしたが、年齢を問わず100万人近くの応募があったように、ご本人が必要を感じれば利用者は自然と増えていきますから、心配はないと思っています」

※ 本事例は2022年11月時点の情報です
※ 写真撮影時にマスクを外していただきました
※ トッパン・フォームズ株式会社は2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に社名変更いたしました

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